2016年10月

PC Micro-Nikkor 85mm F/2.8D

PC Micro-Nikkor 85mm F/2.8Dの仕様

焦点距離 85mm
最大絞り f/2.8
最小絞り f/45
レンズ構成 5群6枚
画角 28°30′
最短撮影距離 0.39m
絞りの羽根枚数 9枚
アタッチメントサイズ 77mm
大きさ 約83.5mm(最大径)×109.5mm(バヨネットマウント基準面からレンズ先端まで)
質量(重さ) 約775g

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シフトレンズとは?

ニコンの現行シフトレンズには「PC-E Micro NIKKOR 45mm F2.8 D ED」「PC-E Micro NIKKOR 85mm F2.8 D」「PC-E NIKKOR 24mm F3.5 D ED」の3本があります。シフトレンズとは、撮像素子に対してレンズを平行移動させ、遠近感により発生するパース(高い建物を見上げたときに先細りになる 現象)を補正する「シフト」や、撮像素子に対してレンズ面を傾けてピントの合う範囲を調整する「ティルト」などの操作ができるレンズのことです。ニコンの レンズでは広角レンズに「シフト」ができるレンズが昔からありましたが、「ティルト」までできるレンズはこの「PC Micro-Nikkor 85mm F2.8 D」だけでした。この「ティルト」機構が無いと今流行のジオラマ風写真は撮れません。

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僕もジオラマ風写真が撮りたくてこのレンズを購入したのですが、今ではブツ撮りや料理、ポートレートの撮影に重宝しています。シフト機構はほとんど使いませんがティルト機構でピントの合う範囲をある程度自由にコントロールできることで表現の幅が大きく広がりました。

デジタルカメラの場合、レンズの性能を最も良く発揮する絞りはf8前後と言われています。料理の撮影の場合はf8で絞りを決めて被写界深度をティルトで調節します。

シフト機構は通常パースを抑えるために使うのですが、ブツ撮りなどで商品の存在感を強調するためにあえてパースを強く効かせることもできます。ポートレートの場合はモデルさんの足を長く見せたりもできるのですが85㎜では効果は実感しにくいです。24㎜か45㎜のPCレンズが必要になります。

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会席料理撮影のライティング

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会席料理のライティング

定期的にご依頼をいただける会席料理の撮影です。品数は多いときは15〜20品。醤油や薬味の器やドリンクなども入れると40近い皿数になることもあります。写真では圧縮効果で短く見えますが、1200㎜×2400㎜のメラミンボードを使っています。テーブルは2台縦につなげています。

初めの頃は天トレのみでサイドはレフ板で補う程度でしたが、黒いメラミンボードに黒い器を乗せるとほとんど同化してしまい器の形が出ない事が何度かあったため、サイドからも光を強めに入れることにしました。結果的には4灯+レフ板という大掛かりなセッティングになってしまいますが、撮影がスムーズに進みますので最近は定番のセッティングになりました。

レンズは85㎜シフトレンズを使っています。被写界深度をかせぐために使っています。歪みの補正にも使いたいのですが、ニコンのPCレンズは改造が必要です。歪んでしまう場合はPhotoshopの出番です。

こういう撮影の現場には、社長様、部長様、料理長、料理担当者、印刷担当者など結構たくさんの方が意見を出し合って写真を仕上げていきます。揚げ物の色が悪ければ揚げ直してもらいますし、笹の葉っぱが乾いてしまえば取り替えてもらえます。たまには器を変更してもらったり、写真写りを優先して料理の内容が変わってしまうこともあります。それだけ写真の出来映えが売上げに直結するということなんですね。単品メニュー撮影の何倍もの時間がかかります。中腰の体勢が続きますので結構体力勝負なところもあります。

今回は会席料理9カットの撮影でしたが、12:00にセッティングを開始して帰宅できたのは20:00です。大変な撮影ですが、自分の撮った写真がお店の前に飾られ、お客様がその立て看板を見ている姿を見るとやりがいを感じます。

ニコマートFTN

ニコマートの仕様

発売 1967年10月
製造中止 1975年
形式 露出計内蔵35㎜フォーカルプレーンシャッター式一眼レフレックスカメラ
レンズマウント ニコンFマウント
シャッター 上下走行式メタルフォーカルプレーンシャッター
シャッター速度 B、1、1/2、1/4、1/8、1/15、1/30、1/60、1/125、1/250、1/500、1/1000秒
ファインダー ペンタプリズム使用アイレベルファインダー マイクロプリズム式距離計内蔵 マット面とフレネルレンズ使用
ファインダー視野率・倍率 約92% 50mm標準レンズ使用で無限遠の場合、約0.86倍
ミラー クイックリターン式
絞り込み ボデー上部の絞り込みボタン
巻き上げ レバー式 1作動 155度 露出計回路用スイッチと連動
コマ数計 自動復元順算式
巻きもどし クランク式
シンクロ接点 MおよびX接点 1/125秒以下の低速においてスピードライトに同調
露出計 中央部重点測光 シャッター速度と絞りに両連動する定点式CdS露出計(TTL方式) 水銀電池1.3V1個使用

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マディソン郡の橋

ニコマートFTNはニコンFの廉価版という位置づけのようです。個人的にはニコンFより使いやすいと思います。小説「マディソン郡の橋」でロバートキンケードはニコンFに50㎜レンズと24㎜レンズを付けて橋の撮影をしていました。ついでに不倫相手の女性も撮っていました。映画ではクリントイーストウッドが演じていましたね。かっこよかったです。ロバートキンケードはナショナルジオグラフィックからの依頼でマディソン郡にある幌つきの橋を撮影していたそうですが、ナショナルジオグラフィックにはロバートキンケードというカメラマンは所属していないとのことですのであくまでも小説の話のようです。映画 ではカメラのことにはほとんど触れていませんが、小説ではニコンのカメラのことが詳しく描写されていました。僕がニコンを使っているのもロバートキンケードの影響です。

僕が写真を撮り始めた当時は既にニコンF5が登場していていましたが、そんな高額なカメラを持てるわけもなくニコンF3で手を打つことにしました。レンズは勿論50㎜と24㎜。このセットでロバートキンケードになりきっていました。

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マニュアルカメラのいいところ

マニュアルフォーカスのカメラでは先に構図を決めて、ピント合わせはその後になります。オートフォーカスカメラの場合はフォーカスロックが使えるためピントを合わせた後フォーカスロックしてから構図を決めるという順番になります。構図を最初に強く意識することになるマニュアルフォーカスカメラは構図の上達には最適だと思います。構図を考える癖を付けてしまえばフォーカスロックを使ってもちゃんと構図を整理できるようになります。

その後ニコンF4を使うようになってからはF3の出番はほぼ無くなり手放してしまいました。さらに最近はデジタルカメラを使うようになってしまったためF4も手放してしまいました。デジタルは撮影後にフォトショップなどのレタッチソフトでトリミングや角度調節ができてしまいますので構図のことはほとんど意識しなくなっていました。そしてあるとき気が付きました。『完全に構図が下手くそになっている!』ということを。

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このままではまずいと思い、マニュアルフォーカスカメラをもう一度手に入れることにしました。そこで白羽の矢が立ったのがこのニコンFTNです。普及機なだけあって中古でも探せば程度の良いものが見つかります。このようなマニュアルカメラの場合は見た目が綺麗でもシャッタースピードが狂っていて安くなっていることがあります。購入前に腕時計の秒針で低速シャッターの精度を確認しなければいけません。腕時計を忘れた場合は、1秒=「おじーちゃん」、 1/2秒=「おばちゃん」と口に出して言うとある程度正確さが確認できるそうです。

幸い程度も良く僕の好きなブラックボディが手に入りました。これでも3件くらいの中古店をはしごしての購入です。ネットのオークションでも近頃は信頼できるようになってきているようですが…。

サラマンカホールの撮影

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サラマンカホールでの撮影

マンドリンアンサンブル Gクレフさんの定期演奏会の撮影をさせていただきました。サラマンカホールは最後尾から狙っても200㎜レンズでちょうどいい距離感で撮影しやすい場所です。マンドリンの演奏は思ったより静かな部分が多いため、シャッター音には気をつけました。シャッター音より子供の雄叫びの方が気になりましたが…。

 

依頼はスチール撮影だけでしたが、サービスで動画も撮りました。キャノンxc10とニコンD4の2台で動画をまわしてみましたがニコンD4の音は全然ダメでした。xc10の音を使ってDVDを作ってみようかと思います。

 

第2部の最後は物語音楽になっていてアンデルセンの話がオーケストラの音楽に合わせて展開していく趣向になっていました。音の迫力のおかげで壮大な物語に感動してしまいます。涙を流しながら聞いているお客さんもいました。

 

撮影の方もバッチリ良い写真がたくさん撮れました。同じ場所からだと隠れてしまう演奏者もいるので左右に動きながらまんべんなく撮影しました。写真お楽しみに!

ポラロイドカメラ SX-70

ポラロイドカメラSX-70の仕様

発売 1972年
レンズ 4枚構成116㎜F8光学ガラスレンズ
撮影範囲 26㎝~無限遠
露出 自動露出AE機構内蔵(明暗コントロール付き)
バッテリー フィルムパックに内蔵
シャッタースピード 14秒~1/180秒 無段階電子シャッター

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アラジン初期モデル

発売から40年経った現在でも大人気シリーズでこのファーストモデルには“アラジン”という愛称までつけられています。僕が手に入れたモデルはレンズ全面のリングに放射状のラインが入っている初期モデルです。後期モデルはこのリングに数値目盛りが入っています。初期モデルの方が見つかりにくいそうです。これまで数百枚の撮影をしていますが故障も無くまだまだ使えそうです。

僕が購入した当時はすでにSX-70専用のフィルムは製造中止となっていましたので、600フィルムを代用していました。600フィルムは感度がISO600ですので約2段分の露出を落とすNDフィルターをレンズに付けて使用します。SX-70専用フィルムより600フィルムの方が黄色味やコントラストが強く温かみとシャープさが抜群に気持ちが良かったです。

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この独特な風貌のために周りの視線はやはり気になりますが、そんなことを気にしていては良い写真は撮れませんので、心を鬼にしてがんがん撮影していました。ちょうどテレビドラマでキムタクさんがこのSX-70を持っていたらしく、そんなドラマに興味の無い僕は1回も見ていませんが、撮影中に「キムタクの真似か!」と思われるのではないかと変な心配までしていました。キムタクの真似でも福山の真似でも結構。自分が撮りたいモノを撮るだけです。

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適正露出をモノにする

さてこのSX-70ですが、露出のコントロールにはそれなりの知識が必要です。SX-70は失敗が多いという方もみえるようですが、それはこの知識が浅いためだと思います。画面全体が黒いものを撮るとき、反対に画面全体が白いものを撮るときにこの露出コントロールを正確にしなければなりません。1枚300円のフィルムが無駄になってしまいます。できれば1発必撮です。逆光などはコントロールしても性能面で限界もありますが、できる限りのコントロールは必要です。自分が狙っている被写体が黒いものだったり画面全体が暗い場合はそのまま撮るとシャッタースピードが遅くなり思ったより明るめに撮れます。この場合はコントロールダイヤルを黒側に回してマイナス補正します。反対に白いものだったり画面に強い光が入り込んでいたりする場合は暗めな写真になってしまいますので、コントロールダイヤルを白側に回してプラス補正します。この感覚を研ぎ澄ましていくと失敗は無くな ります。

とはいってもポラロイドの場合明るく飛んでしまったり、暗くつぶれてしまってもそれが良い味になる場合もありますので失敗とか成功とか言うのは野暮かもしれません。露出のことを気にしずにバシャバシャ撮った方が良いのかもしれません。お金があれば…。

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そしてポラロイドフィルムは約7㎝四方のほぼ正方形の可愛い写真ができあがります。この小さな1枚を貴重なものにしてしまうよりはたくさん撮って何十枚もの写真をごちゃ混ぜにして見る方が楽しいです。

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ポラロイドカメラSX-70のアクセサリー

SX-70のアクセサリーにはクローズアップレンズがあります。600フィルムで撮影する場合に必要なNDフィルターの前に取り付けます。花に止まって蜜を吸う蝶々や子供のアップなども撮れて結構遊べます。

現在は600フィルムの生産も中止となり、別の会社がPXシリーズなどを生産しているようですが、あまりにも使い物にならなかったので今は撮影を中止しています。PXシリーズは現在改良段階ですので、描写が安定して値段相応に楽しめるようになるのを期待しています。