2016年10月06日

PC Micro-Nikkor 85mm F/2.8D

PC Micro-Nikkor 85mm F/2.8Dの仕様

焦点距離 85mm
最大絞り f/2.8
最小絞り f/45
レンズ構成 5群6枚
画角 28°30′
最短撮影距離 0.39m
絞りの羽根枚数 9枚
アタッチメントサイズ 77mm
大きさ 約83.5mm(最大径)×109.5mm(バヨネットマウント基準面からレンズ先端まで)
質量(重さ) 約775g

130507-0014

シフトレンズとは?

ニコンの現行シフトレンズには「PC-E Micro NIKKOR 45mm F2.8 D ED」「PC-E Micro NIKKOR 85mm F2.8 D」「PC-E NIKKOR 24mm F3.5 D ED」の3本があります。シフトレンズとは、撮像素子に対してレンズを平行移動させ、遠近感により発生するパース(高い建物を見上げたときに先細りになる 現象)を補正する「シフト」や、撮像素子に対してレンズ面を傾けてピントの合う範囲を調整する「ティルト」などの操作ができるレンズのことです。ニコンの レンズでは広角レンズに「シフト」ができるレンズが昔からありましたが、「ティルト」までできるレンズはこの「PC Micro-Nikkor 85mm F2.8 D」だけでした。この「ティルト」機構が無いと今流行のジオラマ風写真は撮れません。

130507-0008

130507-0009

僕もジオラマ風写真が撮りたくてこのレンズを購入したのですが、今ではブツ撮りや料理、ポートレートの撮影に重宝しています。シフト機構はほとんど使いませんがティルト機構でピントの合う範囲をある程度自由にコントロールできることで表現の幅が大きく広がりました。

デジタルカメラの場合、レンズの性能を最も良く発揮する絞りはf8前後と言われています。料理の撮影の場合はf8で絞りを決めて被写界深度をティルトで調節します。

シフト機構は通常パースを抑えるために使うのですが、ブツ撮りなどで商品の存在感を強調するためにあえてパースを強く効かせることもできます。ポートレートの場合はモデルさんの足を長く見せたりもできるのですが85㎜では効果は実感しにくいです。24㎜か45㎜のPCレンズが必要になります。

shifutorenzu-0001

shifutorenzu-0002

会席料理撮影のライティング

0001

会席料理のライティング

定期的にご依頼をいただける会席料理の撮影です。品数は多いときは15〜20品。醤油や薬味の器やドリンクなども入れると40近い皿数になることもあります。写真では圧縮効果で短く見えますが、1200㎜×2400㎜のメラミンボードを使っています。テーブルは2台縦につなげています。

初めの頃は天トレのみでサイドはレフ板で補う程度でしたが、黒いメラミンボードに黒い器を乗せるとほとんど同化してしまい器の形が出ない事が何度かあったため、サイドからも光を強めに入れることにしました。結果的には4灯+レフ板という大掛かりなセッティングになってしまいますが、撮影がスムーズに進みますので最近は定番のセッティングになりました。

レンズは85㎜シフトレンズを使っています。被写界深度をかせぐために使っています。歪みの補正にも使いたいのですが、ニコンのPCレンズは改造が必要です。歪んでしまう場合はPhotoshopの出番です。

こういう撮影の現場には、社長様、部長様、料理長、料理担当者、印刷担当者など結構たくさんの方が意見を出し合って写真を仕上げていきます。揚げ物の色が悪ければ揚げ直してもらいますし、笹の葉っぱが乾いてしまえば取り替えてもらえます。たまには器を変更してもらったり、写真写りを優先して料理の内容が変わってしまうこともあります。それだけ写真の出来映えが売上げに直結するということなんですね。単品メニュー撮影の何倍もの時間がかかります。中腰の体勢が続きますので結構体力勝負なところもあります。

今回は会席料理9カットの撮影でしたが、12:00にセッティングを開始して帰宅できたのは20:00です。大変な撮影ですが、自分の撮った写真がお店の前に飾られ、お客様がその立て看板を見ている姿を見るとやりがいを感じます。