2019年04月

スタビライザーRonin-s

ドローンで有名なDJI社製「RONIN-S」を購入しました。

スタビライザーにはハンドヘルド(片手で持てる)型、ボディマウント型、ショルダーマウント型などがあります。

僕の現在の仕事の状況からするとスタビライザーが必要になる場面はそれほど多くなかったため、これまではハンドヘルド型の手動式を使っていました。

WildCatⅡです。セッティングも楽ですし、それほど重たくも無いのでとても気に入っていました。しかし、方向転換時や上下への首振り時には左手の人差し指と親指でつまんで絶妙な力加減でアシストしなければならず、この力加減がかなり難しかったのです。

「廃倉庫を借りてモデルさんに新製品の服を着せて歩かせたい。服をカッコよく見せるイメージ動画を作れないか?」という打診がありましたので、この際、手動式から電動式にグレードアップしておこうということになったわけです。

ボディマウント型やショルダーマウント型のような大げさな機材ではセッティングに時間がかかりそうで1人でやってるうちはまだ必要ないかなと思いハンドヘルド型にしました。

電源を入れる前に大まかにカメラのバランスを取っておきます。そうしないとモーターに負荷がかかりすぎてしまいます。

この微調整はWildCatⅡで何度もやっているので、すぐにできました。

電源を投入すると自動で正面を向いてくれます。

この後にスマホに入れておいたRONINのアプリを立ち上げスタビライザーと同期します。アプリと同期することでより正確な制御が可能になります。

バランスのテストもあるので、自分のセッティングの良し悪しが判断できます。バランスが良いと3軸全部に「Excellent」と表示されます。

バランスが悪かったことが無いのでバランスが悪い時に何と表示されるのかは知りません。

このラジコンのプロポのようなジョイスティックでカメラの向きを変えることができます。力加減に合わせてスピードも変えられます。パンやティルトもバッチリです。

唯一問題なのはこのフォローフォーカス。

このフォーカスノブは一眼レフ動画で常に問題となるピント合わせをしやすくしてくれるフォローフォーカスですが、使えるカメラはまだ限られています。メーカーさんは少しずつ対応できる機種を増やしていくとのことですが、ニコン製品はあまり期待できないです。

このRONIN-Sの実力を最大限に活かすにはパナソニックGH5にしないといけないみたいですが、あの形がどうも好きになれない。

カメラでメシを食う。

よくカメラでメシ食ってるねぇ〜

いろいろなお店に撮影に伺うのですが、最近よく皆さんに言われます。「よくカメラでメシ食ってるねぇ〜」って。

褒められてるのかバカにされてるのかよくわかりませんが、愛想笑いで返すことになります。

僕がカメラを手にし始めた20年ほど前は写真が撮れることは大変に価値があることでした。写真が撮れるようになるまでにはお金も時間も要りますし、度胸も要りました。

何かあった時にはすぐ高飛びできるように身辺を身軽にしておくことも必要でした。

カメラのお陰で、美味しいものが食べられたり、温泉に泊まれたり、スターに会えたり、一般の方が入れない所に入れていただけたりいろいろな経験ができることが刺激で今現在も続けているわけです。

さすがに近頃はカメラマンが増えたため、ギャラはみるみる減っていきますし、現場での扱いも惨めなものです。

 

僕もいくつかお仕事のマッチングサイトに登録しています。ほとんど仕事としては受けていませんが、どんな仕事に需要があるのかがわかりますし、稀にサイトを通り越して直接依頼のお話もいただけます。

その中で気になるのが「カメラレッスン」の依頼が意外に多いことです。風景、ポートレート、車、子供などの撮影方法を学びたいとかPHOTOSHOPやLIGHTROOMを使えるようになりたいという方が多い。

90分のレッスンで10000円〜20000円辺りが相場。1回だけなのか複数回のレッスンかで報酬も変わりますが。

中には「絶対カメラでメシを食いたいので教えて下さい」という強い意志が感じられる方もみえます。

この時代にカメラでメシを食っていきたいと思う方が結構いることはなんとなく嬉しい気はしますが、やはりやめておいた方がいいのではないでしょうか?

写真の撮り方よりも仕事の取り方。

カメラや照明機材の扱い方、PHOTOSHOPやLIGHTROOMの使い方は取説もありますし本もたくさん出ていますし、ネットにもためになる情報が溢れています。わざわざお金を払って人に教えを乞うほどのことではありません。そもそも自分で反復練習や研究ができないような人は向いていません。

自分で確定申告ができない方も向いてません。詳しくは書けませんが、ちゃんと確定申告を自分でやらないと無駄に税金を払うことになったり、健康保険料や市県民税か高額になってきて仕事が少なくて大変な時ほどダメージをくらいます。必要経費だからと自分に言い聞かせ、自分の身の丈を知らずにレンズやボディを購入していると服が買えなかったり食費を削ったり、お誘いを断るようになって次第に孤立していきます。僕は正にこのタイプです。

だから僕はちゃんと確定申告しています。今年は8万円の還付金。

天候に左右される仕事、リピートしづらい仕事は極力減らす。

僕はカメラが好きですので、どんなに単価の安い仕事でも空いていれば受けます。撮影は楽しいですから。

ただ天候に左右されたり、被写体(例えば子供さん)のご機嫌に左右される仕事はなるべく断っています。自分の技術や準備ではどうしようもない撮影は、自信を持って納品できないのは悔しいです。喜んでいただくために撮影しているのに「雨が降ってたので…」「子供が泣き止まなかったから…」こんな理由で残念な納品になってしまうのは嫌ですからね。

リピートしない仕事も危険です。プロフィール撮影とか家族写真とかでしょうか。「家族写真はリピートするよ。お宮参りから結婚式まで依頼が来るし友達を紹介してくれるよ」って言う方もみえます。

3兄弟や3姉妹だとしても彼ら彼女らが成長するまで何回の撮影がありますか。紹介してくれるのは同世代同地域のごく限られた範囲の中の話しですよね。

リピートというのは少なくても年1回は確実に見込めないと厳しいです。リピートの仕事を少しずつでも増やしていくことで年間のスケジュールも立てやすくなってきます。

「この時期は毎年暇だから機材をメンテナンスに出しておこう」とか「時間が空きそうだから納期に縛られない部屋でできるブツ撮りの仕事を入れておこう」という感じでスケジュールを管理していけます。

プロフィール撮影とか家族写真、学校関係は本来地元の写真館さんのテリトリーですから。

自社で撮影して経費削減!どうぞご自由に!!

カメラマン使うと高いからなぁ〜

料理の撮影の仕事を定期的にいただいているお店さんがあるのですが、前回の撮影の時にやたら細かいことを質問されました。

この紙はどこで買ったの? f18で撮ってる? コード繋がってないけどどうやって光らせてるの?

なぜそんなこと聞くのかと伺うと、数日前にスタッフで機材を集めて撮影をやってみたそうです。コンサルの方がある程度セッティングの仕方やカメラの設定がわかるのでその方の指導の元、社内で撮影をやってみたそうです。

後々は外注カメラマンを使わず社内で完結させて経費を削減することを目指しているとのこと。

クォリティを落としてはいけない!

コンサルの方の仕事は売り上げを上げることですから、外注費を減らすのは安易ですぐに思いつきそうな手段ですね。しかし本当にその方針で大丈夫なのでしょうか?

仕事をいただいている僕が言うと、「仕事が無くなるからそんなこと言ってるんだろ」って思われそうですので誤解のないように前置きしておきますが、仮にこの仕事が無くなったとしても僕にとっては4%程の売り上げ減。仮にこの仕事の拘束時間に他の仕事が入れば確実に売り上げ増となります。

とある事情から撮影の仕事を担当することになったわけですが、僕としましては昔からお世話になっているお店ですので、できるだけ経費を圧迫させないように請求していますし、すこしでも良い写真を撮って恩返ししたいという気持ちで臨んでいるわけです。

さて、ミラーレスカメラが普及しだしたことや中国製の安価な照明機材がネットで大量に販売されています。企業の広告宣伝費を少しでも減らす手段として外注に頼らず自社で撮影を完了させようという動きは急激に増してきたように思います。

WEBサイト内の小さい枠で紹介するための内観写真、スタッフ間の仲の良さをアピールするためのスナップ写真、福利厚生の充実を訴えるためのイベントのスナップ写真、インスタ映えを狙った新作料理の紹介などは外注カメラマンが撮る必要の無い分野だと思いますが、チラシやDM、ウエルカム看板、店内のグランドメニューなどの写真はやはりそこそこのクォリティは絶対に落としてはいけない分野ではないでしょうか?

本当に経費削減になるのでしょうか?

ではカメラや撮影の知識の乏しいスタッフさんが、撮影のジャンルの中でもより専門的な知識と経験が必要だと言われている料理写真を撮ることは本当に経費削減になるのでしょうか?

最初は見よう見まねで照明機材を揃えて、意味もわからず言われた通りのカメラの設定で撮影することになります。恐らくそこそこのクォリティの写真は撮れると思います。

しかし料理撮影(特に品数の多い会席料理など)の現場では様々なハプニングが必ず起こります。

バッテリーが切れた。カードが満タンになった。スレーブが反応しなくなった。PCに通信できていなかった。

醤油をこぼした。笹の葉っぱが乾いた。デザートが溶けた。懐紙が油を吸ってしまった。具が全然見えない。器が汚れている。並べてみると器の色が合わない。

このようなハプニングになるべく時間をかけずに対応することが重要です。

料理に関するハプニングなら直ぐに対応できるでしょうが、機材トラブルの場合はそうはいきません。原因がわかるまでに相当な時間を要するかもしくは原因がわからず別の方法を模索することになります。

カメラマンは機材トラブルがあればギャラをいただけませんから細心の注意をはらい予備の機材も準備しています。料理の状態もチェックしますがやはり周りの方の指摘で気づくこともよくあります。こうしてそれぞれの立場の方が自分の担当部分をしっかりチェックして意見を出し合って完成させていきます。

人間1人が注意を払える量にはやはり限界があります。

スタッフさんが今まで休憩していた時間を削って撮影業務を任されるわけですから、気持ちとしては一刻も早く終わらせて休憩したい。そんな精神状況のときほどトラブルに見舞われます。せっかく時間を使って撮影したもののクォリティが低くて使い物にならなければ最悪です。

 

経費削減は重要な課題であることはわかりますが、安易に外注費を削る方向はどうかと思います。僕は今現在はできるだけ安価に請求していますが、次お願いされた時は正規の金額で請求させていただけるので良いチャンスです。