2019年04月02日

自社で撮影して経費削減!どうぞご自由に!!

カメラマン使うと高いからなぁ〜

料理の撮影の仕事を定期的にいただいているお店さんがあるのですが、前回の撮影の時にやたら細かいことを質問されました。

この紙はどこで買ったの? f18で撮ってる? コード繋がってないけどどうやって光らせてるの?

なぜそんなこと聞くのかと伺うと、数日前にスタッフで機材を集めて撮影をやってみたそうです。コンサルの方がある程度セッティングの仕方やカメラの設定がわかるのでその方の指導の元、社内で撮影をやってみたそうです。

後々は外注カメラマンを使わず社内で完結させて経費を削減することを目指しているとのこと。

クォリティを落としてはいけない!

コンサルの方の仕事は売り上げを上げることですから、外注費を減らすのは安易ですぐに思いつきそうな手段ですね。しかし本当にその方針で大丈夫なのでしょうか?

仕事をいただいている僕が言うと、「仕事が無くなるからそんなこと言ってるんだろ」って思われそうですので誤解のないように前置きしておきますが、仮にこの仕事が無くなったとしても僕にとっては4%程の売り上げ減。仮にこの仕事の拘束時間に他の仕事が入れば確実に売り上げ増となります。

とある事情から撮影の仕事を担当することになったわけですが、僕としましては昔からお世話になっているお店ですので、できるだけ経費を圧迫させないように請求していますし、すこしでも良い写真を撮って恩返ししたいという気持ちで臨んでいるわけです。

さて、ミラーレスカメラが普及しだしたことや中国製の安価な照明機材がネットで大量に販売されています。企業の広告宣伝費を少しでも減らす手段として外注に頼らず自社で撮影を完了させようという動きは急激に増してきたように思います。

WEBサイト内の小さい枠で紹介するための内観写真、スタッフ間の仲の良さをアピールするためのスナップ写真、福利厚生の充実を訴えるためのイベントのスナップ写真、インスタ映えを狙った新作料理の紹介などは外注カメラマンが撮る必要の無い分野だと思いますが、チラシやDM、ウエルカム看板、店内のグランドメニューなどの写真はやはりそこそこのクォリティは絶対に落としてはいけない分野ではないでしょうか?

本当に経費削減になるのでしょうか?

ではカメラや撮影の知識の乏しいスタッフさんが、撮影のジャンルの中でもより専門的な知識と経験が必要だと言われている料理写真を撮ることは本当に経費削減になるのでしょうか?

最初は見よう見まねで照明機材を揃えて、意味もわからず言われた通りのカメラの設定で撮影することになります。恐らくそこそこのクォリティの写真は撮れると思います。

しかし料理撮影(特に品数の多い会席料理など)の現場では様々なハプニングが必ず起こります。

バッテリーが切れた。カードが満タンになった。スレーブが反応しなくなった。PCに通信できていなかった。

醤油をこぼした。笹の葉っぱが乾いた。デザートが溶けた。懐紙が油を吸ってしまった。具が全然見えない。器が汚れている。並べてみると器の色が合わない。

このようなハプニングになるべく時間をかけずに対応することが重要です。

料理に関するハプニングなら直ぐに対応できるでしょうが、機材トラブルの場合はそうはいきません。原因がわかるまでに相当な時間を要するかもしくは原因がわからず別の方法を模索することになります。

カメラマンは機材トラブルがあればギャラをいただけませんから細心の注意をはらい予備の機材も準備しています。料理の状態もチェックしますがやはり周りの方の指摘で気づくこともよくあります。こうしてそれぞれの立場の方が自分の担当部分をしっかりチェックして意見を出し合って完成させていきます。

人間1人が注意を払える量にはやはり限界があります。

スタッフさんが今まで休憩していた時間を削って撮影業務を任されるわけですから、気持ちとしては一刻も早く終わらせて休憩したい。そんな精神状況のときほどトラブルに見舞われます。せっかく時間を使って撮影したもののクォリティが低くて使い物にならなければ最悪です。

 

経費削減は重要な課題であることはわかりますが、安易に外注費を削る方向はどうかと思います。僕は今現在はできるだけ安価に請求していますが、次お願いされた時は正規の金額で請求させていただけるので良いチャンスです。