2019年06月

適正な絞り値

 

難しい撮影

撮影というのは、絞りとシャッタースピードと感度を自分の好みに設定して露出を決めます。ストロボなどの照明を使う場合は光量の設定や光源の距離の調節が加わります。撮りたい構図に適したレンズを選びます。

決めることがたくさん有りますので、簡単に撮影できるようにはなりません。

正直言えば今でも「あの場面ではもっと絞らなといけなかったかな」とか「この写真はブレてしまって納品できないな」とかいうことはよくありますが…。

どんな場面でも瞬時に適正な設定に修正できるようになるには、やはり10年以上はかかるのではないかと感じます。

 

家族写真やイベントのスナップしか撮らない方はそんなことで悩むことは無いでしょう。背景がボケててややハイキー(明るく飛ばしめ)に仕上げればOKですからね。

開放辺りの絞りしか使いませんので、三脚さえいらなくなることも多いです。実に簡単な撮影です。

 

難しい撮影は、ディレクターさんからの指示のもと的確に撮影しなければならない撮影ではないでしょうか。

「モデルさんの撮影が終わったら料理を撮っておいてください」、「料理を撮り終わったら外観、内観を撮っておいてください」、「これは切り抜きで使用しますので切り抜きやすい背景で撮っておいてください」…。こちらの段取りは完全に無視され目まぐるしく指示が飛んできます。

部屋の電気を点けたり消したり、機材を片付けたり出したり、三脚を使ったり使わなかったり、その都度少しでも良い写真になるように瞬時に判断していきます。

体力も精神力もかなり消耗するのですが、僕はこういう撮影の仕事が一番好きですね。達成感が得られますし、帰宅後の発泡酒がいつもより美味しく感じられます。

まず絞り

露出を決める要素の中でも優先されやすいのが「絞り値」ですね。どのくらいボカすのか、あるいはくっきりさせるのか。

カメラのモニターでは細かくチェックができないため身体に染み込ませてしまわないと失敗してしまいます。

カウンターに並べたウィスキーボトルの銘柄はくっきり読めるようにしたいけど背景はガチャガチャしているのでボカしたいという状況はよくあります。

ボトルが複数の場合、真横1列に並べれば開放気味でもピントはきますが、少しでも前後させると若干絞らないといけません。

こういう繊細な微調節を現場で瞬時に行なっているわけです。

絞りが変われば当然露出も変わってしまいますのでまた設定し直しです。

ディレクターさんにキレてしまうカメラマンさんの話しをよく聞きますが、同業としてはわからなくもないわけですね。

でもそこはグッとこらえないと次の仕事はきません。