機材レビュー

6畳スタジオを公開

6畳の部屋を撮影スタジオに

商品撮影では自宅の6畳の部屋をスタジオにしています。アクセサリーや小物類なら十分に撮影できます。照明のセッティングや光のコントロールにはそれなりにアイデアが必要です。

ロケ撮影の場合、撮影用の小道具がなくてうまくいかないこともあります。自分の部屋なら、テープ類やクランプなど何でもありますので、いざというときにとても助かります。撮影もはかどります。

動画で公開

撮影の準備から終了までを動画に撮ってみました。今回の商品は瓶に入った人参ジュースで切り抜き用の撮影でしたので、写り込みがあったために、最後には黒い布で覆ってしまうということになってしまい分かりにくい映像になってしまいました。実際の撮影現場はこういうものですけどね。

撮影機材

商品撮影はニコンD810に105㎜f2.8のレンズで撮影しています。照明はコメットのモノブロックストロボ400Wと200Wの2灯。その他ディフューザーとレフ板、黒い布を使っています。

動画はニコンD810に15㎜f2.8の魚眼レンズで撮影しています。先日購入した7インチのBlackmagic Video Assist 4Kという外部モニターを付けています。このモニターはモニタリングだけでなく収録もできます。一眼レフのフルHDの収録時間は20分という制限がありますが、Blackmagic Video Assist 4Kで収録すれば、メディアがいっぱいになるまでフルで収録可能になります。

このBlackmagic Video Assist 4Kのおかげで、一眼レフを定点撮影にも使えるようになりとても重宝しています。音声もちゃんと録音できていました。

LED電球で商品撮影

LED電球を使って定常光での商品撮影を試してみました。

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動画撮影に使える定常光の照明機材を探していたところ、安いスピードライトで有名なYongnuo(ヤンヌオと読むらしい)製のパネル型のLED照明がよく売れているようでした。600個のLED電球を仕込んだものや1000個のものまであるようです。調光ができたり付属の半透明パネルで色温度を変えたりできるようです。ここまで調べたらこんな夢のような機材は是非購入しようと思う訳ですが、中国製ですので一応デメリット部分も調べないといけません。Amazonの口コミにたくさん出ていました。別の商品が届いたとか、返品時の対応が悪いとか、ファンの音が気になるなど多くの意見がありましたので、僕はやめました。

しかし動画撮影の仕事が既に決まっていて自然光とレフ板では心もと無いと思っていましたので、昔からある写真電球(レフランプ)を15年ぶりに使ってみようかとも思いましたが、この写真電球は扱いがやっかいな上に、寿命が短いのです。消費電力も500Wと電子レンジなみ。

そこでホームセンターで見つけたのがこのLED電球です。消費電力16W!写真電球用に使っていたソケットも十分使えるので試しに購入してみました。1個3000円程度でしたので2個購入しました。

屋内での動画撮影で人物の顔をほんのりと照らす程度で十分ですので、この電球を傘バウンスで使うことを想定しています。

光量は物足りないが動画撮影時の補助光にはOK!

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傘バウンス2灯でどのくらいの光量がかせげるのか調べてみました。

ISO感度400、シャッタースピード1/60秒、で絞りがf2.0です。物撮りにはとても使えませんが、動画の補助光には使えそうです。被写体が人物ですので、このくらいの光量がちょうどいいです。あまり眩しいのも良くないですからね。

セッティングはこんな感じ↓

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アンブレラホルダーに傘をさしてクリップ式の電球ソケットに電球を取り付けて傘に向けて光りをあてています。

昼光色は青すぎるとか、昼白色が見た目に近いとかいろいろ言われていますが、電球の直当てはLEDでもさすがに光がかたいので白い傘にバウンスさせたり、白い天井や壁にバウンスして使うことを考えれば色温度をそこまで気にすることは意味がありません。電球色は黄色くなりますので撮影には向きませんけど。

定常光で物撮りにも挑戦。

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これはたまたま近くにあった撮影用の小物の財布です。こんな感じの被写界深度の浅い写真は撮れますが、絞り込んだカタログ用などの商品撮影には使えません。仮にf22くらいまで絞るとシャッタースピードは1秒とか2秒になってしまい、正確な色の再現が出来ません。長時間露光ではブレの心配もあります。感度を上げればノイズが発生します。

LED電球は発熱が少ないので、写真撮影で使っていた機材が問題なく使えるのがありがたいです。傘バウンスもそうですが、トレペも使えそうです。動画撮影の補助光としての使い方がメインですので、あまり大掛かりな照明機材にはしたくありません。やはり、傘バウンスが理想的だと思います。移動も楽です。

 

ホワイトバランスの強い味方 expodisc。

正確な色をカメラに覚えさせる。

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デジタルカメラの写真は被写体が反射する光をカメラのセンサーが受光して電気信号に変換されて画像として保存されています。ネガフィルムの場合は被写体が反射する光をフィルムに当てることでシアンの層、マゼンタの層、イエローの層がそれぞれ化学反応を起こし、ネガフィルムに記録されます。

被写体がどのような光を反射したかによって色が決まります。同じ人物でも朝撮るのか昼撮るのか夕方撮るのかで色は変わりますし、商品撮影でもストロボで撮るのか蛍光灯で撮るのかハロゲン電球で撮るのかで色は変わります。

デジタルカメラにはホワイトバランスの設定の項目がありますので、ある程度の補正が出来たり、あえて好みの色を付けたりもできてとても便利です。曇天の下で撮られた青っぽい写真を黄色みを加えて暖かい写真にするなどということができるわけです。

商品撮影の場合は商品の色を正確に伝えなければいけませんので、このホワイトバランスの設定は大変重要です。カメラのバックモニターで確認したときは気にならなかったのに、PCで見ると嫌な色がかぶってしまっているなんてことがよくあります。また、そのPCを見ている環境が蛍光灯の部屋だったりするとPCに写っている写真の色さえも信じられなくなってしまいます。

人間のに目は高性能なホワイトバランスセンサーが付いていますので、緑っぽいものでも白く見えてしまっていたりします。フォトショップなどのソフトでカラーデータをチェックするとよくわかりますが、1枚1枚の写真を毎回チェックすることは現実的には無理です。

expodiscがとても便利

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そんな悩みを解消してくれるのが、このexpodiscです。他のメーカーからもいろいろ出ていますし、グレーカードを使う方もみえます。僕は出来るだけカッコいい機材を使って仕事をしたいので、このexpodiscを使っています。カッコいい機材で仕事をするとテンションも上がって楽しく撮影できますからね。

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使い方は簡単です。撮影する被写体にレンズを向けてそのレンズの先にこのexpodiscをはめ込みます。露出を決めます。カメラのホワイトバランスの設定の中から「PRE」を選択。いったん(WB)ボタンから指をはなし再度(WB)ボタンを長押しします。すると表示パネルの「PrE」の文字が点滅します。この点滅中に1度シャッターを押します。表示パネルに「Good PrE」が表示されれば成功です。絞り過ぎると上手く取得できないみたいですので、そんなときは少し絞りを開けて再度挑戦します。

このプリセットホワイトバランスを取得して撮影するのは商品撮影において正確な色を表現するためには大切なことなのですが、ロケ撮影の場合は、意外と色かぶりがあった方が味が出て良いときもありますので、毎回使う訳ではありません。

最近のデジタルカメラはオートホワイトバランスでもかなりいい感じに仕上がりますのでこういう製品の出番も少なくなるような気がしますが、まだまだオートでは完璧ではありませんので、そのあたりのキワドい部分を的確にこなすのがカメラマンの仕事だと思います。

アンブレラホルダー

ロケ撮影の強い味方「アンブレラホルダー」

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これまで雑誌の取材撮影などはコメットのモノブロックストロボを愛用していたのですが、やや大掛かりになるためもう少し機材をコンパクトにできないかと悩んでいました。クリップタイプのストロボはチャージの遅さや光量不足の懸念があったため避けていたのですが、求められる写真の状況が少し変わってきましたので思い切って導入してみました。

以前はじっくり時間をかけて1枚1枚の写真としての完成度を求められることが多かったのですが、最近は「とにかくいろいろな角度でいろいろな画角でたくさん撮っておいてください。使う写真は後で決めます」という要望が増えてきました。これもデジタルの時代ならではの指示ですね。

そうなると撮影する方は結構大変です。外観、内観、料理、モデルさん入れての料理、モデルさんのメイン、店主など撮影する場合、カメラマンは大抵は料理の準備の状況を聞いて、撮影の順番を効率的になるように決めています。ところが、「あっあれ可愛い。あれ撮ってください。」「さっき言い忘れていましたがこれも撮っておいてください。」なんて言われるとその時点で段取りが狂ってしまい大慌てです。とてもモノブロックでは対応していられません。

クリップタイプのストロボなら場所移動も楽ですし、狭い所でも使えます。直当てではとても使い物にならないので、このアンブレラホルダーを使って傘バウンスをします。

使いやすいフォトフレックス、かっこいいマンフロット

上の写真右側は以前から持っていたフォトフレックスのアンブレラホルダーです。こちらはシンプルなデザインで締め付けねじが非常に締めやすくてとても使いやすいです。コメット純正の10㎜シャフトのアンブレラもバッチリ使えます。

一方マンフロットの締め付けねじは全部ばらばらで使いやすいとは言えません。丸穴のねじを締めようとすると上の締め付け棒が邪魔で非常に不便です。コメット純正の10㎜シャフトのアンブレラは残念ながら先っぽまでしか入りません。8㎜シャフト用ですね。

でもなぜかマンフロットはこの使いにくさや不便さも含めてかっこいいんですね。三脚もそうですけど。「どうしてこの部分だけシルバーにしたの?」「締めると緩めるの方向が分かりにくくて手を痛める」こんな感じのモノばかり。イタリアの国民性なのでしょうか?でもそんなマンフロットを使っているという満足感が沸き上がってくるんですね。これからもマンフロットを使い続けることになると思います。

ハッセルブラッド500c/m

ハッセルブラッド500c/mという素敵なカメラ

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ハッセルブラッドには6×6㎝判のVシステムと、6×4.5㎝判のHシステムがあります。Hシステムは現行の中判デジタルカメラへと進化しています。さらにVシステムにはレンズシャッター式の500シリーズやフォーカルプレーンシャター式の2000、200シリーズ、広角撮影用のSWシリーズなどがあります。500シリーズの中でも500c/mはシステムの完成度が高く中判カメラの頂点に君臨しつづけていました。

僕もいつかはハッセルを使ってみたいと思いつつその価格と素人には扱いにくいという評価のために長年躊躇していました。ところが35㎜ デジタルカメラの台頭で中判フィルムカメラの中古価格がみるみる下がり始めました。ハッセルブラッドも「使えなかったら眺めていればいいか」とまで思えるほどに価格が落ちてきましたのでついに購入しました。

ボディーは500c/mブラック、C80㎜標準レンズ、A12フィルムマガジン、このセットで20万円以内で納まりました。程度はかなり良いものでしたが2~3回の試し撮りでフィルムマガジンのカウンターが動かなくなったのでマガジンスライド(遮光版)が収納できるものを追加で購入しま した。

約束事さえ守ればこれほど使いやすく理にかなったカメラは無い

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「ハッセルブラッドの取り扱いにはいくつかの約束事がありそれを守らないとすぐに故障して莫大な修理費がかかる」という情報が巷に溢れていますが、どうもガセ情報だったようです。「クランクを回転させ常に次の撮影が可能な状態にしておく」この1点のみを気を付けるだけで、フィルム交換もレンズ交換も非常に簡単にできます。以前使っていたマミヤRZ67の方が取り扱いに慣れるまで時間がかかったような気がします。約束事といっても全てごく当たり前の操作ばかりで理にかなっていてその完成度は秀逸です。写真上がシャッターを切った直後の状態、写真下が次の撮影が可能な準備状態です。カウンター横の2つの窓で確認します。2つの窓が白色であればマガジン交換やレンズ交換などが可能な状態です。

考えてみればハッセルブラッドの500シリーズは500cの発売から60年近くもシステムの変更が無く当時の部品がそのまま現行の機種にも使えるという奇跡的なカメラです。仮に扱いにくいさや機能面に問題があるのであればこの60年の間に修正なり変更なりがあって当然のはずです。

デジタルカメラでは味わえないアナログの魅力

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僕は残念ながらコーティングの違いによるレンズの描写やカールツァイスレンズの解像感というものには鈍感で撮影された写真に大きな影響が出ない限りはほとんど気にしません。それよりも「シュポンッ」というシャッター音や正方形のフォーマットで構図を考えるときのゾクゾク感のような部分を重視してしまいます。デジタルカメラは大変便利でフィルムカメラでの仕事のときに付きまとった「ちゃんと撮れたかな?」という不安感から解き放たれたことが最大のアドバンテージだと思っているのですが、愛着が出るようなデジタルカメラは今のところ出会えていません。その点フィルムカメラには1眼レフに限らず2眼レフのオシャレな風貌やレンジファインダーの背景にある開発の歴史など愛着を持たずにいられないカメラがいっぱいあります。その中でもハッセルブラッドがその完成された機能とともに兼ね備える魅力は眺めているだけでは味わえず、手になじむほどに「このカメラで何か撮りたい!」という気にさせてくれる愛おしいカメラです。

ワイヤレススピードライトコマンダーSU-800

ニコンクリエイティブライティングシステム(CLS)はどうか?

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クリエイティブライティングシステム対応カメラに装着して、SB-910、SB-900、SB-800、SB-700、SB-600、SB-R200の発光量をワイヤレスで制御可能。

ワイヤレススピードライトコマンダーSU-800をボディに取り付けると離れた所にあるスピードライトを遠隔操作で発光させることができます。光量の調節も手元でできます。こんな魔法のようなアイテムが世の中には存在しているのですね。もうモノブロックやジェネレーターなんかはいらなくなってしまい ますね…

…確かにできなくはないのですが、僕の場合あまり出番はなさそうです。勿論、人によって撮り方は違いますので便利だと言う方も当然みえると思いますが。

今の所出番が少なそうな感じ。

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1番の理由は撮影のリズムが狂うことです。人物撮影も多い僕にとってはこのリズムは非常に大切です。僕は未だにマニュアルフォーカスでピントを合わせることが多く低照度の屋内での撮影ではオートフォーカスは信用できません。そこでフォーカスのブラケットを多用しています。ピントの合っていないところからシャッターを切りはじめピントを合わせながらシャッターを切っていき、ピントが合わなくなったのを確認してシャッターを切るのを止めます。こうすればどれか1枚はピントは合っているでしょう。こんなときスピードライトのチャージの遅さがネックになってしまいます。

2番目の理由はロケに使えそうで使えないところです。ワイヤレスで発光できるということは電源が確保できないロケ撮影での使用に期待をかけてしまいます。軽装備でのロケ撮影を目的にスピードライトを使うわけですので、あまりごっつい三脚をスタンドとして使ったり、ウエイトをわざわざスタンドに吊るすというのは本末転倒な気がして当然軽量のスタンドにスピードライトを乗っけることになります。すると足場の悪いロケでは簡単に転倒してしまいます。やはりロケ用照明は安定感が命!太目のスタンドにウエイトをしっかりぶら下げパナソニックのPE60SGを傘バウンス。これをラジオスレーブでワイヤレスにします。これが今のところ最適なロケ用のシステムとなっています。スピードライトのようにハイスピードシンクロ機能なんかはできませんが、感度を下げてスピードシンクロに対応させます。実際スピードライトのハイスピードシンクロ機能ではシャッタースピードが速くなればなるほどガイドナンバーがみるみる落ちていき直当てでかなり近付けるか、スピードライトの数を増やすかしないといけません。

3番目の理由はスピードライトの値段です。ニコンSB-910はだいたい40,000円ほどです。コメットCT-200jrはだいたい49,000円ほどです。価格差10,000円程度なら迷わずコメットです!

PC Micro-Nikkor 85mm F/2.8D

PC Micro-Nikkor 85mm F/2.8Dの仕様

焦点距離 85mm
最大絞り f/2.8
最小絞り f/45
レンズ構成 5群6枚
画角 28°30′
最短撮影距離 0.39m
絞りの羽根枚数 9枚
アタッチメントサイズ 77mm
大きさ 約83.5mm(最大径)×109.5mm(バヨネットマウント基準面からレンズ先端まで)
質量(重さ) 約775g

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シフトレンズとは?

ニコンの現行シフトレンズには「PC-E Micro NIKKOR 45mm F2.8 D ED」「PC-E Micro NIKKOR 85mm F2.8 D」「PC-E NIKKOR 24mm F3.5 D ED」の3本があります。シフトレンズとは、撮像素子に対してレンズを平行移動させ、遠近感により発生するパース(高い建物を見上げたときに先細りになる 現象)を補正する「シフト」や、撮像素子に対してレンズ面を傾けてピントの合う範囲を調整する「ティルト」などの操作ができるレンズのことです。ニコンの レンズでは広角レンズに「シフト」ができるレンズが昔からありましたが、「ティルト」までできるレンズはこの「PC Micro-Nikkor 85mm F2.8 D」だけでした。この「ティルト」機構が無いと今流行のジオラマ風写真は撮れません。

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僕もジオラマ風写真が撮りたくてこのレンズを購入したのですが、今ではブツ撮りや料理、ポートレートの撮影に重宝しています。シフト機構はほとんど使いませんがティルト機構でピントの合う範囲をある程度自由にコントロールできることで表現の幅が大きく広がりました。

デジタルカメラの場合、レンズの性能を最も良く発揮する絞りはf8前後と言われています。料理の撮影の場合はf8で絞りを決めて被写界深度をティルトで調節します。

シフト機構は通常パースを抑えるために使うのですが、ブツ撮りなどで商品の存在感を強調するためにあえてパースを強く効かせることもできます。ポートレートの場合はモデルさんの足を長く見せたりもできるのですが85㎜では効果は実感しにくいです。24㎜か45㎜のPCレンズが必要になります。

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ニコマートFTN

ニコマートの仕様

発売 1967年10月
製造中止 1975年
形式 露出計内蔵35㎜フォーカルプレーンシャッター式一眼レフレックスカメラ
レンズマウント ニコンFマウント
シャッター 上下走行式メタルフォーカルプレーンシャッター
シャッター速度 B、1、1/2、1/4、1/8、1/15、1/30、1/60、1/125、1/250、1/500、1/1000秒
ファインダー ペンタプリズム使用アイレベルファインダー マイクロプリズム式距離計内蔵 マット面とフレネルレンズ使用
ファインダー視野率・倍率 約92% 50mm標準レンズ使用で無限遠の場合、約0.86倍
ミラー クイックリターン式
絞り込み ボデー上部の絞り込みボタン
巻き上げ レバー式 1作動 155度 露出計回路用スイッチと連動
コマ数計 自動復元順算式
巻きもどし クランク式
シンクロ接点 MおよびX接点 1/125秒以下の低速においてスピードライトに同調
露出計 中央部重点測光 シャッター速度と絞りに両連動する定点式CdS露出計(TTL方式) 水銀電池1.3V1個使用

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マディソン郡の橋

ニコマートFTNはニコンFの廉価版という位置づけのようです。個人的にはニコンFより使いやすいと思います。小説「マディソン郡の橋」でロバートキンケードはニコンFに50㎜レンズと24㎜レンズを付けて橋の撮影をしていました。ついでに不倫相手の女性も撮っていました。映画ではクリントイーストウッドが演じていましたね。かっこよかったです。ロバートキンケードはナショナルジオグラフィックからの依頼でマディソン郡にある幌つきの橋を撮影していたそうですが、ナショナルジオグラフィックにはロバートキンケードというカメラマンは所属していないとのことですのであくまでも小説の話のようです。映画 ではカメラのことにはほとんど触れていませんが、小説ではニコンのカメラのことが詳しく描写されていました。僕がニコンを使っているのもロバートキンケードの影響です。

僕が写真を撮り始めた当時は既にニコンF5が登場していていましたが、そんな高額なカメラを持てるわけもなくニコンF3で手を打つことにしました。レンズは勿論50㎜と24㎜。このセットでロバートキンケードになりきっていました。

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マニュアルカメラのいいところ

マニュアルフォーカスのカメラでは先に構図を決めて、ピント合わせはその後になります。オートフォーカスカメラの場合はフォーカスロックが使えるためピントを合わせた後フォーカスロックしてから構図を決めるという順番になります。構図を最初に強く意識することになるマニュアルフォーカスカメラは構図の上達には最適だと思います。構図を考える癖を付けてしまえばフォーカスロックを使ってもちゃんと構図を整理できるようになります。

その後ニコンF4を使うようになってからはF3の出番はほぼ無くなり手放してしまいました。さらに最近はデジタルカメラを使うようになってしまったためF4も手放してしまいました。デジタルは撮影後にフォトショップなどのレタッチソフトでトリミングや角度調節ができてしまいますので構図のことはほとんど意識しなくなっていました。そしてあるとき気が付きました。『完全に構図が下手くそになっている!』ということを。

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このままではまずいと思い、マニュアルフォーカスカメラをもう一度手に入れることにしました。そこで白羽の矢が立ったのがこのニコンFTNです。普及機なだけあって中古でも探せば程度の良いものが見つかります。このようなマニュアルカメラの場合は見た目が綺麗でもシャッタースピードが狂っていて安くなっていることがあります。購入前に腕時計の秒針で低速シャッターの精度を確認しなければいけません。腕時計を忘れた場合は、1秒=「おじーちゃん」、 1/2秒=「おばちゃん」と口に出して言うとある程度正確さが確認できるそうです。

幸い程度も良く僕の好きなブラックボディが手に入りました。これでも3件くらいの中古店をはしごしての購入です。ネットのオークションでも近頃は信頼できるようになってきているようですが…。

ポラロイドカメラ SX-70

ポラロイドカメラSX-70の仕様

発売 1972年
レンズ 4枚構成116㎜F8光学ガラスレンズ
撮影範囲 26㎝~無限遠
露出 自動露出AE機構内蔵(明暗コントロール付き)
バッテリー フィルムパックに内蔵
シャッタースピード 14秒~1/180秒 無段階電子シャッター

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アラジン初期モデル

発売から40年経った現在でも大人気シリーズでこのファーストモデルには“アラジン”という愛称までつけられています。僕が手に入れたモデルはレンズ全面のリングに放射状のラインが入っている初期モデルです。後期モデルはこのリングに数値目盛りが入っています。初期モデルの方が見つかりにくいそうです。これまで数百枚の撮影をしていますが故障も無くまだまだ使えそうです。

僕が購入した当時はすでにSX-70専用のフィルムは製造中止となっていましたので、600フィルムを代用していました。600フィルムは感度がISO600ですので約2段分の露出を落とすNDフィルターをレンズに付けて使用します。SX-70専用フィルムより600フィルムの方が黄色味やコントラストが強く温かみとシャープさが抜群に気持ちが良かったです。

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この独特な風貌のために周りの視線はやはり気になりますが、そんなことを気にしていては良い写真は撮れませんので、心を鬼にしてがんがん撮影していました。ちょうどテレビドラマでキムタクさんがこのSX-70を持っていたらしく、そんなドラマに興味の無い僕は1回も見ていませんが、撮影中に「キムタクの真似か!」と思われるのではないかと変な心配までしていました。キムタクの真似でも福山の真似でも結構。自分が撮りたいモノを撮るだけです。

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適正露出をモノにする

さてこのSX-70ですが、露出のコントロールにはそれなりの知識が必要です。SX-70は失敗が多いという方もみえるようですが、それはこの知識が浅いためだと思います。画面全体が黒いものを撮るとき、反対に画面全体が白いものを撮るときにこの露出コントロールを正確にしなければなりません。1枚300円のフィルムが無駄になってしまいます。できれば1発必撮です。逆光などはコントロールしても性能面で限界もありますが、できる限りのコントロールは必要です。自分が狙っている被写体が黒いものだったり画面全体が暗い場合はそのまま撮るとシャッタースピードが遅くなり思ったより明るめに撮れます。この場合はコントロールダイヤルを黒側に回してマイナス補正します。反対に白いものだったり画面に強い光が入り込んでいたりする場合は暗めな写真になってしまいますので、コントロールダイヤルを白側に回してプラス補正します。この感覚を研ぎ澄ましていくと失敗は無くな ります。

とはいってもポラロイドの場合明るく飛んでしまったり、暗くつぶれてしまってもそれが良い味になる場合もありますので失敗とか成功とか言うのは野暮かもしれません。露出のことを気にしずにバシャバシャ撮った方が良いのかもしれません。お金があれば…。

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そしてポラロイドフィルムは約7㎝四方のほぼ正方形の可愛い写真ができあがります。この小さな1枚を貴重なものにしてしまうよりはたくさん撮って何十枚もの写真をごちゃ混ぜにして見る方が楽しいです。

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ポラロイドカメラSX-70のアクセサリー

SX-70のアクセサリーにはクローズアップレンズがあります。600フィルムで撮影する場合に必要なNDフィルターの前に取り付けます。花に止まって蜜を吸う蝶々や子供のアップなども撮れて結構遊べます。

現在は600フィルムの生産も中止となり、別の会社がPXシリーズなどを生産しているようですが、あまりにも使い物にならなかったので今は撮影を中止しています。PXシリーズは現在改良段階ですので、描写が安定して値段相応に楽しめるようになるのを期待しています。