スタッフブログ

インスタ映えもやっと終息へ。

インスタ映え、SNS映えという言葉もようやく死語のようですね。

SNSで使われる画像は、僕たちがお金を貰って撮影するものとはちょっと違います。SNSで使用するのであれば彩度やコントラストを強調したり、あえて淡い彩度にしたりして非現実を表現することでインパクトを狙います。

僕たちが依頼を受けて撮影するものも依頼者からの要望であればそれらしく加工することもありますが、基本的に集客(もしくは購買)目的であることが多いので、あまり現実離れしたものでは実際に来店したお客様(もしくは商品を購入したお客様)がギャップを感じてしまいクレームにつながりかねません。

飲食店でのメニューの撮影でもインスタ映えを求めてこられると、「本当にいいのですか?」って思ってしまいます。

「Facebookに投稿したいのでしたら、ご自分のスマホで勝手に撮ってください」って言いたくなりますが、角が立つのでグッとこらえています。

最近はもうすでに映えることに飽きて『インスタ萎え』なんていう言葉が出てきましたね。あれだけ盛り上げておいてほんの1年足らずでもう次を探し始めるというせわしさ。

「インスタ映え撮影テクニック教えます」なんてうたっていた方たちは今のうちに次の仕事を探さないといけません。

カメラマンは何を撮影するべきか!

カメラを仕事にしている方の中にもSNSを大活用して映える写真を盛大にUPされてる方もいますし、ガッツリデジタル加工を施した写真で個展を開いちゃったりする方もみえます。

これだけ流行り廃りの激しい時代に流行に乗っかった写真はどのくらい価値があるものでしょうか?

僕が20代の頃、先輩カメラマンさんがこのダイアン・アーバスのことを教えてくれました。僕も興味を持ったので作品集を購入しました。この表紙に使われている作品は「一卵性双生児」というタイトルのダイアン・アーバスの代表作です。映画シャイニングの中にも同じようなインパクトのあるシーンがありますがスタンリー・キューブリック監督がこの「一卵性双生児」から着想を得ているらしいです。

ダイアン・アーバスはもともとヴォーグなどの雑誌でファッションカメラマンとして活躍していたのですが、肉体的や精神的に障害を持つ人に興味が湧き、施設を訪れて彼らの写真を撮り続けました。結局自分も精神バランスを崩し、48歳で自宅のバスタブで自殺しています。

ダイアン・アーバスは、障害者の支援を訴えたわけでもなく、逆に障害者の天使のような瞬間を捉えようとしたわけでもありません。撮影中に嫌悪感を何度も覚えたと自ら語っています。

ダイアン・アーバスの作品は、今でも写真学校の教科書に載っているそうです。この写真を紹介して何を教えようというのか意図はわかりませんが、50年経ったいまでも彼女の作品が関心を集めています。映画化もされましたね。

どうして彼女の作品が関心を集めるのか?

ストレート過ぎるからでしょうね。何かのキャンペーン目的でもないし、自己顕示欲のかけらも感じさせない。

人それぞれ感じ方は違うみたいですがカメラマン目線で見ると、被写体とカメラマンとの距離感がとても気になります。この場合の距離感とは単純に焦点距離のことでもありますし、人と人との関わり合いの距離のことでもあります。

おそらくダイアン・アーバスは、コミュニケーションの取り方には慎重になっていたのではないかと思います。繊細な感情を持つと予想される被写体に対して安易な方法ではうまくいかないことの方が多いと思います。自分のことを相手に興味を持たせることも必要だったでしょう。毎回ギリギリの緊張感を味わいながら慎重に撮影していたのではないかと思います。真相はわかりませんが。