2017年03月

アパレルのブツ撮り

アパレルの商品撮影です。

アパレル企業さんからの依頼で商品撮影をしています。アパレルの撮影はジュエリーや腕時計とは違い、写り込みやハレーションの心配はほとんど無いのですが、このようなブラックフォーマルの場合や真っ白なブラウスなどの場合は素材感が出しづらいため非常に難しい撮影です。柔らかい光を作るのですが、光を回し過ぎても素材感が出ません。ある程度の影を作りながら立体感も出したいところです。

向かって左サイドから被写体に向けて(若干芯はずらしています)上下に配置した傘トレをメインにして、右サイドは大きめのレフ板のみにしました。このレフ板の距離とメイン光の角度の調節で素材感が分かりやすくなるバランスを微調整していきます。

今回は白背景の角版という指示でした。背景にも照明が無いとグレー背景になってしまいますので、左右1等ずつ均等に当てています。ここでの注意点はこの背景を照らす光が被写体に当たらないように黒ケント紙やレフ板などを利用してカットします。被写体の露出と背景の露出を完全に分けて計測します。

Amazonや楽天等のネットショッピング用の撮影ではよく白背景の角版という要望が多いです。キレイに白背景を作るには背景を均等に照明を当てるために背景用に光源が2灯必要です。メイン光だけでは被写体と背景に少なからず距離はありますのでどうしても背景はグレーになります。メイン光しか機材が無い場合は被写体を切り抜き白背景に合成するという手間がかかるということです。

天井が白い場合は天井バウンスを利用して背景と被写体の露出を合わせることもできるのですが、アパレルの場合は生地の素材感は出にくくなってしまいます。

アパレル

水銀灯の色かぶり

卒園式の撮影にて

この時期は卒業式や卒園式の撮影の依頼が増えるわけですが、あまり引き受けると日にちがかぶった時にダブルブッキングにもなりかねませんので、積極的には受けておりません。フリーカメラマンの宿命です。本日撮影に伺った保育園は、僕がまだかけ出しのカメラマン時代に何度もモデルを頼んでいた子からの依頼だったので、喜んで引き受けました。

聞くところによると地元の写真館さんもちゃんといるけど証書受け取りと集合写真しか撮らないそうで、わざわざスナップ用のカメラマンを毎年探しているのだそうです。

会場に行ってみて、なかなかカメラマンが見つからない理由が良く分かりました。ここの園の式はプロジェクターに思い出の写真を投影しながら園児たちが、一生懸命覚えたセリフを発表するという趣向となっています。そのため黒幕で外光を完全にシャットアウト。会場内は昭和から使用していると思われるレトロな水銀灯で照らされています。水銀灯は緑がかった青白い光を放ちます。人間の目は自動的にホワイトバランスをとりますので一見普通の色に思えますが、写真に撮ると上の写真のような強烈な緑かぶりを起こしています。しかもとても暗い。

点灯してから完全に発光するまで数分かかり、その時間もタマによってまちまち。プロジェクターの投影が終わって水銀灯を点灯してもなかなか元の明るさに戻ってくれません。

この悪条件ではなかなかキレイな写真を残してあげるのは難しいと思います。ストロボの発光はプロジェクターの映像の邪魔になるのでなるべく控えて欲しいとの要望もあり、悪条件が重なります。

色に関しては後処理でなんとかすることに。

少しマゼンタを足すと緑かぶりが軽減されます。写真右端の白とびしている部分が自然光ですがほんのりマゼンタがかっているのが確認できます。

悪条件でも引き受けてしまったからには言い訳はできませんので、24-70と70-200の2本のレンズを使い分けてストロボ発光も慎重になりながら、感度と絞りを撮りたい絵に合わせて設定を変えながら、頭フル回転で撮影しました。

いつもなら園児の歌を聞いて一緒に感動したり魚眼レンズで遊んでみたり構図を工夫してみたりしながら楽しんで撮影しているのですが、今日は久しぶりに汗をかきながら必死に撮影しました。良い写真もたくさん撮れたのではないかと達成感を味わっています。

スナップ撮影も侮れない

現時点で、ブライダルや学校行事のスナップカメラマンの中にフィルム時代からやっているカメラマンはどのくらいいるのでしょうか?デジタルカメラの普及以降急速にその手のカメラマンが増加していることを考えると、フィルム時代からやっているカメラマンは少ないのではないかと思えてしまいます。カメラマンを探すとき、SNSやホームページに投稿されている写真でそのカメラマンの腕を判断するのは非常に危険です。WEB上の写真なんて何とでもできますからね。ブライダルでも学校行事でもカメラマンの力量不足のために起こるトラブルの話は最近よく聞きます。スナップ撮影というと一眼レフにクリップストロボがあればそこそこ撮れるのではと思ってしまいますが、条件が悪いときは非常に難しい撮影になります。そんなときはフィルムカメラ時代に体で覚えた『感』が一番頼りになるものです。悪条件下での撮影でもそこそこの結果を出せないとトラブルになります。ギャラをいただけないどころか賠償請求されてしまうかもしれません。

いつも同じような撮影ばかりしていると突然の悪条件に対処しきれなくなってしまいかねないので、たまにはこういう緊張感がある撮影もしないといけないですね。

料理撮影用背景デコラ購入。

会席料理など品数の多い撮影の必需品

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この写真の黒デコラは銀一で購入した1200㎜×2400㎜サイズのメラミンボードです。専用のキャリングケースも必須ですので、合わせて30000円程になります。高価な買い物ですので、ホームセンターのベニヤ板で代用する方もみえます。以前は僕もそうでした。しかし、ベニヤ板は油や食材のシミが付くとなかなかキレイに取れません。シミ取りをあきらめて、Photoshopで修正することが多くなります。簡単な場所のシミならそれでいいのですが、結構目立つところに付いてしまうと修正にも時間がかかってしまいます。メラミンボードは窓用洗剤などでシミをキレイに落とせますので撮影に集中することができます。

そう簡単には購入出来ないのに…。

黒のメラミンボードは、写真が引き締まり高級感を演出することができます。ホテルや旅館の料理撮影では定番です。ですが、人の価値観は様々で、『黒=暗い』というイメージに凝り固まっている方、「いろいろな色の背景で撮っておいて。後で選ぶから。」などとおっしゃる方…。こうなると僕のような貧乏フリーカメラマンには手に負えませんね。

とりあえず明るめの色1枚を購入。

メラミンボード

ぼやいていても仕方が無いので、とりあえずもう1枚明るめのメラミンボードを購入しました。この色なら料理撮影以外でも使い道はありそうなので、なんとか元は取りたいと思っています。ただ、この大きさなので持ち運ぶのにも一苦労。部屋に置いておくと非常に場所を取られてしまうため実家の部屋に置いておいて必要な時にいちいち取に行くようにしています。これのおかげで実家に顔を出すこともできるわけですのでそれはそれで良しとしましょう。

思い出遠足

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足近保育園の思い出遠足に参加

毎年恒例の年長さんのみで行く思い出遠足に同行しました。アクアトトと一宮の138タワーパークです。商品撮影の仕事の場合は部屋に閉じこもり一人で黙々と撮影をしますので結構陰鬱な感じになりますので、園児と一緒に遠足に行くのは良い気晴らしです。このアシカショーは何度も見ているので多少飽きてしまっていますが園児たちには大人気ですね。アシカが鳴くとそのドスの効いた鳴き声に固まる子もいます。

大きなピラルクとご対面

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アマゾンの巨大淡水魚“ピラルク”もアクアトトの目玉です。この極悪面にみんな大興奮!鱗というより鎧をまとっているようです。

アクアトトの次は138タワーパーク

水族館を出るとみんな思い出したかのように「おなかすいた〜」と言い出しました。138タワーパークに到着したらすぐにお弁当になりました。僕は荷物がかさばるのが嫌なので、ペットボトルのお茶と菓子パンしか用意していません。すると男の子がデザートの苺を1つくれました。その子のデザートはその苺1個しか無かったように見えたのでちょっと心苦しかったのですが、せっかくの厚意を断ってはいけないと思い美味しくいただきました。普段おとなしい子なのでビックリです。すると園児どうしでデザート自慢が始まりました。ゼリーや蜜柑やパイナップルなどいろいろありました。そんな中、僕の隣にいた女の子のお弁当にはデザートが入っていなかったようです。みんなのデザート自慢が一段落すると、その女の子が僕に「私のお母さんのご飯はデザートより美味しいの!」と言って美味しそうにご飯を頬張りました。意地らしい言動に癒されますね。

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遠足が終わると卒園式

思い出遠足が終わると次はいよいよ卒園式です。足近保育園は比較的学区外の子も多いので、卒園すると何人かは別の小学校になります。子供たちは寂しいというよりは早く小学校に行きたくてワクワクしているようです。僕は小学校の運動会や課外授業なども撮影に行きますのでほとんどの子はまた会えるのですが、違う小学校に行ってしまう子とはもう会えないかもしれません。そう思うとちょっと寂しいですね。何年後かに僕が撮った写真を見た時に僕のことも思い出してくれるのでしょうか。